変形性膝関節症/PRP再生医療

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、関節軟骨のすり減りが原因となり、立ち座り動作や歩く動作で痛みがでることが特徴です。関節軟骨を元どおりに修復させる方法があればいいのですが、関節軟骨は細胞成分が乏しく、そのような治療法はありません。対処方法としては、まずは痛みに対する治療、ヒアルロン酸の関節内注射、運動療法などを行い、改善が乏しければ最終手段として人工関節手術が行われることが通常です。

当院の院長は、勤務医時代に数多くの人工関節手術を行なってきた経験をこのクリニックに生かし、変形性関節症のさまざまな状態に対応できるように体制を整えています。一般的なクスリや注射の提案はもちろんのこと、当院ではレーザーや低周波などの物理療法に加え、理学療法士による運動器リハビリテーションも行なっています。さらに、治療の新しい選択肢として再生医療(バイオセラピー)があり、当院は再生医療法に基づいた認可を受けています(第2種 変形性関節症に対するPRP関節内投与−計画番号:PB52000539)。また、手術が適切と判断した場合は、阪大病院を初めとした連携医療機関に紹介させていただきます。どうぞお気軽に受診してください。

以下のような症状があれば一度ご受診ください。

  • 起床後、膝のこわばりを感じる
  • 歩き出そうとすると、膝重くて動かしにくい
  • 膝に鈍い痛みを感じる
  • 階段の上り下りや正座や深くしゃがみこむ動作などが困難
  • 立ち上がり、歩き始めに膝が痛む
  • 膝が腫れている、水がたまっている

【変形性膝関節症段階別図式】

  • 初期

    膝のクッションでもある関節軟骨がすり減りすきまが狭くなる

    初期
  • 中期

    さらに進行が進むと骨棘が関節の縁にできる

    中期

    骨棘の破片の軟骨片が関節液に混じり骨膜を刺激して痛みが出る

  • 末期

    軟骨がなくなり、骨同士がぶつかることにより激しい痛みとひざに変形がおこる

    末期

変形性膝関節症に対するPRP再生医療
(PRP療法/APS療法:自由診療)

再生医療は、生まれながらにして本来備わっている「自然治癒力」を利用した治療法です。ケガをした傷が治った経験は誰もがあると思いますが、そのような時は血液中の血小板の中から出る活性物質が働いています。関節の軟骨や靭帯には細胞も血管も極めて少ないため、血小板の働きによる自然治癒力が得られません。そのような場所に対する再生医療として有効性が報告されたものが「PRP(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿)療法」です。血小板の有効成分を抽出したものを自己血液から作成し、患部に注射する方法であり、一流スポーツ選手の肘の故障などにも使われています。当クリニックではPRP精製用GPSⅢキットならびにAPS(Autologous Protein Solution)キットを採用しています(いずれもZimmer Biomet 社)。「APS療法」はPRPから抗炎症成分や成長因子などの成分をさらに濃縮して取り出したもので、次世代PRPといわれており、これらを患部に直接注射することで、炎症を抑える効果や痛みの軽減が期待できます。
※欧州におけるAPSの臨床試験では、中程度までの変形性膝関節症においては1回の注⼊で最大2年間に渡って痛みの軽減が継続したと報告されています。

変形性膝関節症に対する再生医療
【変形性膝関節症に対する
PRP療法の比較図】
治療名 PRP(GPSⅢ) APS(次世代PRP)
特徴 自然治癒力を高める治療法 変形性関節症に特化した治療法
投与する回数 1回 1回
痛みの抑制持続期間 6~12カ月 12~24カ月
炎症抑制成分量
成長因子量(軟膏保護・成長)
関節内改善期待値
良質なタンパク質
白血球数

PRP再生医療のメリット

  • 日帰りで治療できます。
  • ご自身の血液を使用するためアレルギー反応といった副作用が起こりません。
  • 何度でも受けることができます。

PRP再生医療のデメリット

  • 治療効果・効果の持続期間には個人差があります。
  • 採血部位・治療部位に皮下出血が起こる場合があります。
  • 患部への注入には痛みを伴い、治療部位に腫れ・痛み・熱感が出ることがあります。

治療の流れ

  1. 診察

    PRP療法の適応について診察や検査(血液検査、レントゲンなど)を行います。問題がなければ治療日を決定します。

  2. 治療日
    • ① 血液を50mlほど採取します。 治療の流れ
    • ② 専用のチューブや機械で処理を行います。30-40分程度かかります。 治療の流れ
    • ③ PRP/APSを関節内に注射します。注入時は痛みが出ることもありますが、なるべく痛みが出ないように心がけております。 治療の流れ
    • 治療の流れ
    • 治療の流れ
    • 治療の流れ
  3. 診察

    治療後は、2週・1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月および1年後の定期診察をお願いします。経過を確認しながらリハビリテーションを進めて行きます。

治療後の注意点

  • 治療当日は、飲酒、喫煙、マッサージ、運動など治療部位に刺激が加わるようなことはお控えください。
  • 治療部位の感染を防ぐため、入浴も当日はお控えください。
  • 翌日からは、投与部位を浴槽につけていただいて大丈夫です。
  • 投与後、数日間は注射部位などに炎症が起きたり腫れや痛みがでたり、血流の良くなる活動(運動や入浴など)を行うことで、炎症や腫れが強くなることがありますがほとんどの方は1週間程で落ち着きます。
  • 違和感等などが生じた場合は、自己判断せず当クリニックにご相談ください。

PRP/APS療法を受けることができない方

  • 発熱がある方
  • 感染症に罹患している方
  • がんの治療中である方
  • 免疫抑制剤を内服している方
  • 1ヵ月以内にPRP/APS治療を受けている方
  • 薬剤過敏症の方 など

費用

厚生労働省の認可をうけた機器を用いて作成されますので安全性は高いものですが、保険外診療となりますので治療費用の全額を患者様にご負担いただきます。

PRP療法 165,000円(税込)
APS療法 330,000円(税込)

Q and A

Q 変形膝関節症の再生医療とは、どのようなものですか?
A 自己血液を50ml程度採取し、そこから専用の機器を使って血小板の有効成分を抽出したものを患部に注射するものです。抗炎症作用と損傷した組織の再生が期待されます。従来の治療の効果が乏しく、人工関節手術しかないと言われた方の痛みが軽減されることもあります。
Q この再生医療には何種類か有るのですか?
A はい、PRPとAPSの2種類が有ります。
PRPは関節だけではなくスポーツ障害などにも使われますが、APSは次世代PRPと言われており変形性膝関節症に特化した治療法です。どちらも自己血液から有効成分を抽出し、患部に戻すのですが、痛みの抑制持続期間などに違いがあります。詳細は上記をご参照ください。
Q 事前に受診する必要はありますか?
A はい、予め受診してください。事前検査および説明(インフォームドコンセント)を致します。
Q 再生医療の予約は必要ですか?
A はい、事前受診後、再生医療を行う日程の予約をしていただきます。
Q 再生医療は1日で済みますか?
A はい。工程は、自己血液を採取し、30~40分かけて有効成分を抽出した後、それを患部に注射するだけなので、概ね1時間程度で完了します。
Q 診療後はどうしたら良いですか?
A 治療後の経過を確認していきますので、2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に受診してください。
Q 再生医療を受けられない場合がありますか?
A はい。発熱がある方、感染症にかかっている方、がんの治療中の方、免疫抑制剤を内服している方、1ヶ月以内にPRP療法あるいはAPS療法を受けている方、薬剤過敏症の方 等が、受けられない場合があります。一度、医師にご相談ください。
Q PRP療法あるいはAPS療法には保険が適用されますか?
A いいえ。保険外診療となりますので、全額自己負担となります。
費用は、PRP療法が16万5千円(税込)、APS療法が33万円(税込)となります。
クレジットカードでのお支払いも可能です(VISAまたはMASTERのみ)。