リウマチ科とは
関節リウマチは免疫反応の異常を生じて自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つで、一言でいうと『関節がいたむ』病気です。最初は手指などの関節が腫れて「痛む」症状から始まりますが、病気が進行すると関節組織が壊れて「傷む」状態になっていきます。近年において関節リウマチ治療は大きく進歩しており、関節組織が壊れずにすむようにコントロールすることが第一の治療目標となっています。そのためには早期の診断と治療開始が重要で、抗リウマチ薬(免疫調整薬や免疫抑制剤など)や生物学的製剤(バイオ製剤)を用いた治療が必要です。当クリニック院長は日本リウマチ学会専門医/指導医/評議員であり、個々の状況に合った適切な治療を提案いたします。また、少しでも安心して治療に臨めるように、末梢血および炎症反応(CRP)については院内迅速検査設備を導入し、当日に結果を説明できるようにしています。
以下のような症状があれば一度ご受診ください。
- 朝、起きて10分以上指が動かしにくい、こわばる
(特に手指の第二、第三関節(指の付け根) - 手や足などいろいろな関節が複数箇所腫れる
- 手や足など左右同じ箇所の関節が腫れる
- 足首がカチカチで、動かしにくい
- からだがズキズキ痛んで眠れない
- だるくて力が入らない
- ドアノブが回しにくい、ペットボトルが開けにくい
※関節リウマチには、こわばり・痛み・倦怠感の3つの代表的な症状がございます。
検査
- 血液検査
炎症反応(CRP、血沈)やリウマチ因子、抗CCP抗体を測定します。これらは関節リウマチと診断するための一つの基準になりますが、異常値だからすぐに関節リウマチと診断できるわけではありません。腫れている関節の場所や数、期間なども考慮して総合的に診断します。関節リウマチと診断し、治療を開始する場合は呼吸器感染症やウイルス性肝炎の感染がないかをチェックします。また、治療開始後も定期的に血液検査を行い、関節リウマチのコントロールの状況と薬の副作用をチェックする必要があります。
- 骨や関節の画像検査【レントゲン検査、超音波(エコー)】
レントゲン検査では骨の破壊の進み度合いを確認しますが、関節リウマチでも早期の場合は変化がでません。超音波検査では、滑膜の厚さや血流を評価できるので、関節滑膜が炎症を起こしているかどうかを判断できます。
治療
関節リウマチの治療は薬物療法・リハビリテーション・手術療法が基本となります。
薬物療法 (当院で用いることの多い薬剤)
- 抗リウマチ薬(DMARDs)
関節リウマチ治療の基本となるクスリです。免疫の異常に作用して、病気の進行を抑える働きが期待できます。
メトトレキサート(リウマトレックス・メトレート)・サラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN)・ブシラミン(リマチル)・タクロリムス(プログラフ)・ミゾリビン(ブレディニン)など - 生物学的製剤(バイオ製剤)
関節リウマチの治療成績を飛躍的に向上させたクスリです。これらのクスリが登場してからリウマチ患者様の日常生活の質がよくなり、関節リウマチの手術件数も減りました。炎症を引き起こすTNFαやIL-6といったサイトカインを抑える薬剤や、白血球の免疫反応を抑える薬剤などがあります。強直性脊椎炎や乾癬性関節炎に使えるものもあります。当クリニックでは皮下注射製剤を採用しており、その中で自己注射を選択される場合には注射方法のサポートも行います。
エタネルセプト(エンブレル)・アダリムマブ(ヒュミラ)・トシリズマブ(アクテムラ)・アバタセプト(オレンシア)・ゴリムマブ(シンポニー)・セルトリズマブ・ペゴル(シムジア)・サリルマブ(ケブザラ) - JAK阻害剤
サイトカインの働きを細胞の外から中へ刺激を伝える酵素があり、JAKはこのうちのひとつであるヤヌスキナーゼ(Janus kinase)の略称です。JAK阻害剤はJAKの働きを抑えることにより、異常な免疫反応を制御します。感染症が起こる率は生物学的製剤と同程度とされていますが、帯状疱疹はJAK阻害薬治療中の方が起こりやすいため注意が必要です。
- 副腎皮質ホルモン(ステロイド)製剤
炎症を抑える作用が強いものの、骨粗鬆症や糖尿病の悪化に注意が必要です。
- 消炎鎮痛薬(NSAIDs)
いわゆる痛み止めで、関節の腫れや痛みを和らげる働きがあります。
リハビリテーション
手術療法
治療の進歩により件数は少なくなっていますが、人工関節置換術 ( じんこうかんせつちかんじゅつ )、関節固定術などがあります。院長が勤務医として数々の手術に携わってきた経験を生かし、手術の必要性を見極めたうえで提携病院を紹介させていただきます。